美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「それでこそ三神主任だ。ところで今週の土曜日は暇か?」

突然の話題転換に、瑠花はついていけず口を開けたまま呆けていた。

「はあ?」

「耳が遠いとは知らなかったな。土曜日は空いているかと聞いたんだ」

どこまでも俺様な朔也に、瑠花は今度こそ腹を立てた。

土曜日は休みで仕事はない。

プライベートまで上司の指示に従うほど、瑠花は従順な部下ではなかった。

「いえ、予定があります」

「嘘だな。この企画が終わったら誰にも邪魔されずに寝続ける、と行村に宣言していたのを知っているぞ」

瑠花の答えを見透かしたかのような言動にますます怒りのボルテージが上がる。

「くっ・・・わかっているなら邪魔しないで下さい」

「却下だ。君は俺と一緒に行くべき所がある」

朔也の横暴ぶりはとどまるところを知らない。

飴と鞭ならぬ、鞭たまに飴、だ。

「仕事、ですか?」

「行けばわかる」

話にならないとはこの事だろう。

瑠花は諦めずに

「橋沼課長も同行でお願いします」

と言ってみたが、

「No way(ありえない)」

と言う一言で却下された。
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