美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
湯川に朔也から引き剥がされた瑠花は、あの日の想い出のイベントホールに案内されていた。
「ど、どうして黙っていたんですか?私が気づかないのを見て楽しかったですか?それとも調子こいてるって影で笑っていたんじゃ・・・」
「影で笑うだと?嘆くことはあっても笑ったことなど一度もない」
呆けた顔は幻だったのかと思えるほどの真剣な表情で朔也は答えた。
ここ穂積堂のイベントホールは、普段イベントがない時は倉庫と化している。
とはいえ、すぐに会場設営できるよう最低限の物しかここには置かれていないが、それでもごちゃごちゃ感は否めなかった。
あの日と同じ会場とは思えない混沌とした広間は、瑠花を現実に引き戻すのに十分な役目を果たしていた。
「それよりも、瑠花があの日以来、穂積堂を訪れなかった理由を教えてくれ」
こちらの質問には答えていないのに、更なる質問を返されて瑠花はムッとした。
「言いたくありません」
「へえ、それなら力ずくで言わせようかな?」
妖艶な微笑みを浮かべた朔也が、後ずさる瑠花を壁際にジリジリと追いやる。
冷徹俺様イケメン眼鏡御曹司(ほぼ悪口のようで誉め言葉)が、初恋のツンツンデレ甘イケメン王子(贔屓目)だったと知ってしまった瑠花は、もはやまともに朔也の顔を見れずにいた。
先程突然抱き締められた温もりが、朔也の逞しい腕の感触が、いつまでも頭から離れない。
゛穂積部長は心晴さんの婚約者゛
同時に、今さらながらその現実が瑠花の胸に警鐘を鳴らしている。
゛こんな強引な人、好きじゃない。初恋だってきっと勘違いだったんだ。あの人がトライアル商品をくれたのだって、ただ単に厄介払いをしたかっただけなのよ゛
近づいてくる朔也の強引さが苦痛でなくなっていることに、途端に気づいてしまい胸が傷んで仕方ない。
過去に想いを募らせていた初恋の人がすぐそばにいた事に気づいた瞬間、失恋を自覚。
瑠花は目の前の朔也と過去のトライアル男子を比較しながら大きなため息をついた。
「ど、どうして黙っていたんですか?私が気づかないのを見て楽しかったですか?それとも調子こいてるって影で笑っていたんじゃ・・・」
「影で笑うだと?嘆くことはあっても笑ったことなど一度もない」
呆けた顔は幻だったのかと思えるほどの真剣な表情で朔也は答えた。
ここ穂積堂のイベントホールは、普段イベントがない時は倉庫と化している。
とはいえ、すぐに会場設営できるよう最低限の物しかここには置かれていないが、それでもごちゃごちゃ感は否めなかった。
あの日と同じ会場とは思えない混沌とした広間は、瑠花を現実に引き戻すのに十分な役目を果たしていた。
「それよりも、瑠花があの日以来、穂積堂を訪れなかった理由を教えてくれ」
こちらの質問には答えていないのに、更なる質問を返されて瑠花はムッとした。
「言いたくありません」
「へえ、それなら力ずくで言わせようかな?」
妖艶な微笑みを浮かべた朔也が、後ずさる瑠花を壁際にジリジリと追いやる。
冷徹俺様イケメン眼鏡御曹司(ほぼ悪口のようで誉め言葉)が、初恋のツンツンデレ甘イケメン王子(贔屓目)だったと知ってしまった瑠花は、もはやまともに朔也の顔を見れずにいた。
先程突然抱き締められた温もりが、朔也の逞しい腕の感触が、いつまでも頭から離れない。
゛穂積部長は心晴さんの婚約者゛
同時に、今さらながらその現実が瑠花の胸に警鐘を鳴らしている。
゛こんな強引な人、好きじゃない。初恋だってきっと勘違いだったんだ。あの人がトライアル商品をくれたのだって、ただ単に厄介払いをしたかっただけなのよ゛
近づいてくる朔也の強引さが苦痛でなくなっていることに、途端に気づいてしまい胸が傷んで仕方ない。
過去に想いを募らせていた初恋の人がすぐそばにいた事に気づいた瞬間、失恋を自覚。
瑠花は目の前の朔也と過去のトライアル男子を比較しながら大きなため息をついた。