美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「来なければ良かった・・・」
ポツリと呟いた瑠花の言葉に、パタリと朔也が立ち止まる。
二人の距離はわずか20cm。
しかし、朔也が覗き込んだ瑠花の顔は苦痛で歪み、朔也が見たこともないような、まるで泣いているようにも見える表情だった。
「穂積堂が、そんなに嫌いなのか?」
朔也の困惑したような言葉に、瑠花はハッとして顔を上げた。
「まさか。そんなことは絶対にありません」
瑠花は朔也の心配を他所に、作り笑いをして全否定した。
「本当は全てを自分の手でやり遂げてからここには来るつもりだったんです・・・。ただの自己満足な願かけだったんですけど、なんだか知らぬ間に夢が叶っちゃいそうで混乱してしまいました・・・。」
瑠花の言葉に、
「それなら、実際に瑠花の夢は叶うんだ。多少順番が変わっても結果は同じだろう?」
と、更に近づいてきた朔也が瑠花の髪を撫でながら言った。
その口調はいつになく優しく、12年前のツンツンデレ甘イケメン王子を彷彿とさせるものだった。
本当はもう一つ、誰にも言っていない願かけがあった。
瑠花が穂積ソワンデシュヴの商品開発から営業まで全てを手掛けることができた時、その時には、穂積堂のスタッフにトライアル男子もといツンツンデレ甘イケメン王子の行方を聞いて一度は会いに行くつもりだった。
そして、夢を追いかけるきっかけをくれたことへのお礼を言って、立派に仕事をこなしていることを報告して・・・。
なのに、そのもう一つの夢も期せずして叶ってしまっていた。
初恋が実るとは思ってもいなかったし、王子がすでに結婚している可能性すら覚悟していたほどだ。
それなのに、瑠花の想い出の王子様は・・・こんなにも我が儘で、自由な、冷徹俺様イケメン眼鏡王子で・・・。
心晴という婚約者もいて・・・。
瑠花の夢を先走って叶えてまわっている張本人で・・・。
全てにおいて出鼻を挫かれたようで居たたまれない。
この感情は単なる怒りなのか、はたまた嘆きなのか・・・。
瑠花は混乱する自分に気づかれないように、ただただ朔也が離れてくれるのを待った。
ポツリと呟いた瑠花の言葉に、パタリと朔也が立ち止まる。
二人の距離はわずか20cm。
しかし、朔也が覗き込んだ瑠花の顔は苦痛で歪み、朔也が見たこともないような、まるで泣いているようにも見える表情だった。
「穂積堂が、そんなに嫌いなのか?」
朔也の困惑したような言葉に、瑠花はハッとして顔を上げた。
「まさか。そんなことは絶対にありません」
瑠花は朔也の心配を他所に、作り笑いをして全否定した。
「本当は全てを自分の手でやり遂げてからここには来るつもりだったんです・・・。ただの自己満足な願かけだったんですけど、なんだか知らぬ間に夢が叶っちゃいそうで混乱してしまいました・・・。」
瑠花の言葉に、
「それなら、実際に瑠花の夢は叶うんだ。多少順番が変わっても結果は同じだろう?」
と、更に近づいてきた朔也が瑠花の髪を撫でながら言った。
その口調はいつになく優しく、12年前のツンツンデレ甘イケメン王子を彷彿とさせるものだった。
本当はもう一つ、誰にも言っていない願かけがあった。
瑠花が穂積ソワンデシュヴの商品開発から営業まで全てを手掛けることができた時、その時には、穂積堂のスタッフにトライアル男子もといツンツンデレ甘イケメン王子の行方を聞いて一度は会いに行くつもりだった。
そして、夢を追いかけるきっかけをくれたことへのお礼を言って、立派に仕事をこなしていることを報告して・・・。
なのに、そのもう一つの夢も期せずして叶ってしまっていた。
初恋が実るとは思ってもいなかったし、王子がすでに結婚している可能性すら覚悟していたほどだ。
それなのに、瑠花の想い出の王子様は・・・こんなにも我が儘で、自由な、冷徹俺様イケメン眼鏡王子で・・・。
心晴という婚約者もいて・・・。
瑠花の夢を先走って叶えてまわっている張本人で・・・。
全てにおいて出鼻を挫かれたようで居たたまれない。
この感情は単なる怒りなのか、はたまた嘆きなのか・・・。
瑠花は混乱する自分に気づかれないように、ただただ朔也が離れてくれるのを待った。