美髪のシンデレラ~眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない~
「とにかく、朔也くんはずっとラブちゃんを探していたの。あなたの情熱に触れて彼も穂積ソワンデシュヴを継ぐ覚悟を持ったのよ。どうかその熱意だけは疑わないであげて」

「しかし、狭間部長から会社は副社長が継ぐことになっている、と聞いていますが・・・」

湯川店長と狭間部長の言動の食い違いに瑠花は首を傾げた。

「あの狸親父の言うことは何も信じなくていいわ。もちろんあの爬虫類課長のことも。ほんとに最低な連中なんだから・・・」

彼らの悪評は研究開発課内だけのことではなかったようだ。

販売店の代表格である穂積堂の店長が言うくらいだから、尚更だ。

「ラブちゃんもこれまで相当嫌なことを言われたりされたりしてきたでしょう?これ以上我慢することはないのよ」

湯川店長の怒りはまだまだおさまりそうにない。

「あいつらのいいように利用されている副社長も同罪。だから絶対に彼が社長の座につくことはないの」

そう言い切る湯川店長の目は確固たる自信に満ち溢れていた。

穂積直人副社長52歳は、現社長である賢人の弟で、朔也の叔父にあたる。

直人の妻は、狭間部長の長女である浅子。

狭間四姉妹の一番上、年齢は42歳だという。

直人副社長と10歳差の結婚で周囲を驚かせたのは数年前。

狭間部長の紹介で結婚に至ったお見合い結婚だそうだ。

あの心晴の姉だから、浅子も相当な美人らしく、直人副社長は彼女に出会ったときからメロメロ。

直人社長が浅子を手に入れるために狭間社長と契約を結びwin winの政略結婚とも言われているが、真偽の程は定かではない。

瑠花にとってこの手のネタは全く興味の湧かない話であったため、ずっとスルーを決め込んでいたのだが、湯川店長に至近距離で語られてしまっては無視するわけにもいかない・・・。

彼女の勢いに押されているうちに、瑠花は
なんだか副社長派の情報に詳しい゛情報通゛になってしまった気がした。
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