美髪のシンデレラ～眼鏡王子は狙った獲物は逃がさない～

瑠花がそんな些細なことに気を取られている隙に

「湯川店長、このところ、穂積堂の売り上げが伸びていないと夫が嘆いていたわ。あなた方の頑張りが足りないのではなくて？」

と、横柄に浅子が言った。

「いえ、うちの店舗に限って言えば売り上げは伸びています。ただ販売店全体でみるとどうしても・・・」

「自分達のせいではないと仰るのね？でもね、せっかくダーリン（副社長）とパパ（狭間部長）と心晴ちゃんが頑張ってるのに、貴女方販売員が努力しなければ売り上げは伸びないのよ。もう少し精進しなさい」

浅子は実は会社の役員でも社員でもない。

そう、なんでもないのだ。

なのに、こうして時々フラりと穂積堂に来てはお小言を述べて去っていくのだと、さっき湯川店長から聞いたばかりだった。

゛これが噂に聞く浅子さまのマウンティング行動か・・・゛

と瑠花が他人事のように感心していると、想定外にも瑠花の方に攻撃の矛先が向けられた。