永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜
後から礼を迫られそうだ。
坂野先輩は良い人なのか悪い人なのか、本気でわからないでいると───
家のドアの鍵が開けられる音がした。
突然のことで驚きつつ、時間を確認すると坂野先輩と電話をしてから1時間を経とうとしていた。
そんなに話していたのか…じゃなくて!
『与倉さん?』
「ま、待ってください…!」
『あ、もしかして“ヒロキくん”が帰ってきたの?』
坂野先輩は呑気で良いけれど、私はそうはいかない。
慌ててメモした紙をファイルに戻し、物件の冊子も一緒に挟み隠す。
「電話、切りますね!」
『別に良いんじゃない?
いい感じの男がいるってにおわせても』
「……え?」
『それに俺、まだ与倉さんと話したいなぁ』
よくわからないけれど、そんな風に言われたら切りにくくなってしまう。
悩んでいるうちに靴を脱いだ紘毅くんが、部屋にやってきてしまった。