永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜




後から礼を迫られそうだ。

坂野先輩は良い人なのか悪い人なのか、本気でわからないでいると───


家のドアの鍵が開けられる音がした。

突然のことで驚きつつ、時間を確認すると坂野先輩と電話をしてから1時間を経とうとしていた。


そんなに話していたのか…じゃなくて!


『与倉さん?』
「ま、待ってください…!」

『あ、もしかして“ヒロキくん”が帰ってきたの?』


坂野先輩は呑気で良いけれど、私はそうはいかない。

慌ててメモした紙をファイルに戻し、物件の冊子も一緒に挟み隠す。


「電話、切りますね!」

『別に良いんじゃない?
いい感じの男がいるってにおわせても』

「……え?」
『それに俺、まだ与倉さんと話したいなぁ』


よくわからないけれど、そんな風に言われたら切りにくくなってしまう。

悩んでいるうちに靴を脱いだ紘毅くんが、部屋にやってきてしまった。

< 121 / 288 >

この作品をシェア

pagetop