永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜
「あっ…紘毅くん、お帰りなさい」
「ああ、ただいま。悪い、遅くな…」
紘毅くんは私を視界に入れるなり、口を閉じた。
そして“電話中だったのか”とでも言いたげな顔をして、静かにスーツを脱ぎ始めたのだ。
『本当に一緒に住んでるんだね』
「な、い、今更じゃないですか…!」
『何歳差だっけ?確か…八歳差か、八歳も歳上のオトコと二人暮らしなんて、あまり考えられないよね』
「わ、わざわざ言わなくてもわかってますよ…!」
この関係があまりにも不思議で、良くないことなんて。
『だから俺の家に来たらいいのに。
卒業するまでの間もさ』
「い、嫌ですからね!」
『“ヒロキくん”のことを忘れたいのに?』
「……っ」
ここでそれを言うか。
忘れたいけれど、それなら一人暮らしをした方が安全だ。
「さ、坂野先輩は危険人物ですからね!」
『手を出さないって約束しても?』
「信じられません」
『えー、ひどいなぁ』
スマホ越しに聞こえる微かな笑い声。
作り笑いに聞こえなくもない。