永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜
「とにかく…」
坂野先輩の元に行くことはないと言おうとすれば、突然影がかかった。
パッと横を向けば、まだ上着しか脱いでいない紘毅くんの姿があって。
ネクタイに手をかけながら私の隣に座ってきたため、思わずドキッとしてしまった。
「はぁ…疲れた」
なんて言って。
その声が坂野先輩に聞こえたらどうするんだ。
『与倉さん?』
「あっ、はい…何ですか」
『突然黙ってどうしたのかなって』
「いや、別に特には…っ!?」
平静を装おうとしたその時。
さらに紘毅くんは私の肩に頭を乗せてきて。
さっきからどうしたのだ、普段からこんなことはされたことがないというのに。
「さ、坂野先輩!」
『わっ、突然大声出してどうしたの?』
「次バイト一緒なのって明後日ですよね!?」
平常心平常心と唱えるけれど、平常心ではいられない。