永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜
「なぁ詩織」
「どうしたの?」
「その日は午前中だけ学校なんだよな、確か」
「うん、まあ…」
よく覚えていたものだ、他人の予定なんて。
「じゃあせっかくだし、午後だけでも有給とるか」
「えっ…!?」
嬉しい、信じられない。
その感情が真っ先に訪れてきた。
恋人同士で過ごす人たちが多いであろうクリスマスの日に、紘毅くんは仕事じゃなくて私を選んでくれたってことでいいのだろうか。
「ほ、本当…!?」
「逆に詩織は予定とかねぇのか?」
「ない!何もない…!」
どうしよう、突然の嬉しい言葉に頬の緩みを隠せない。
ダメダメだな私。
好きという気持ちを忘れないといけないのに。
「ん、じゃあ決まり。ケーキとか買わないとな」
「うん!紘毅くんとクリスマスパーティーだ…ふふっ」
「やけに嬉しそうだな」
「クリスマスの予定なんてなかったから尚更嬉しいの!」
と、適当に嘘をついておく。
紘毅くんだから嬉しいのだ。
そのままウキウキした状態で準備を終え、笑顔で家を出る。
単純な私は、相変わらず紘毅くんの言葉ひとつで左右されるのだった。