永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜
「おーい、詩織?」
「……何」
「いつまで怒ってんだよ」
「着替えるから洗面所に入ってこないで!」
ご飯を食べた後もズルズル引きずってしまい、怒り口調で返してしまう私。
違う、本当はこんな子供みたいなことしたくない。
頭ではわかっているのに。
それでも勢いよく洗面所の扉を閉めようとしたその時。
ガタンッと音を立てながら、紘毅くんが閉めかけの扉を手で遮ってきた。
「ちょ、な、何…」
少し…いやかなり紘毅くんから危ないニオイがする。
真剣な表情のまま、悪びれもせずに洗面所に入ってきた。
ひと言も話さないまま、ゆっくりと私に近づいてくる。
洗面台が背中に当たるまで後ずさったけれど。
彼はまだ動きを止めようとしない。
「ひ、紘毅く…っ」
ゆっくりと伸びてきたのは彼の大きな手。
ギュッと目を閉じた私の頬を指で撫でてきた。
この近い距離も、こんなイヤラシイ触れ方も知らない私は胸の高鳴りが止まなくて。
ドキドキとうるさい中、頬に熱を帯びるのがわかった。