永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜
そんな彼に声をかけたのが始まりだった。
ただ折り畳み傘とタオルを渡しただけ。
少し善が働いただけだというのに。
彼は律儀にお礼をしてきた。
乾ききった折り畳み傘と、洗濯したてのタオル。
それから女子高生が好きそうな甘いお菓子を添えて、朝の電車のホームでお礼をされた。
『この間は本当にありがとう』
かっこいい彼は笑うさらに色っぽさが増して、言葉を返すのに少し緊張してしまったのを今でも覚えている。
そのまま会話を終了させるのは紘毅くんも気まずかったのだろう、互いにぎこちない会話を始めた。