永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜
「もしかしたら明日、バイト行けないかもしれないよ」
「え、どうしてですか」
「“ヒロキくん”がそれを許してくれないんじゃないかなぁ」
小さく笑う坂野先輩に疑問だけが増えていく。
「そんなことないです。私が紘毅くんを突き放したから、絶対呆れて『もういい』って思いましたよ」
もう私が紘毅くんの家に帰られる日は来ないんじゃないかと思うほどだ。
「じゃあこのまますれ違って終わればいいのに」
「え…」
「俺のところにおいでよって、言いたいところだけど…あの男はその上を行くんだよなぁきっと」
「な、何言ってるんですかさっきから…」
「面倒な大人に捕まったね、君も」
はぁ、と大きなため息を吐いた坂野先輩が立ち上がった。
「明日、バイト前に家帰るよね?」
「……あ、はい」
さすがに今日と同じ服で行くのは躊躇われる。
「じゃあもしバイトに“来れそう”なら電話して」
「……はい?」
何を言っているんだ本当に。
そんなの行けるに決まってるじゃないか。
「変な人……」
思わずそう呟かずにはいられない。
私の心の中には大きな疑問が残っていた。