永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜
「どうして別れたの…?」
「あー、やっぱ聞く?」
「…っ、言いたくない?」
「そんな顔すんなよ、ただダサい俺を知られたくないだけ」
やっぱり未練があるのだろうかと思っていると。
紘毅くんが素直に口を開いた。
「詩織に声かけられる前、会社ですげぇ最悪なミスしてさ。得意先だった相手の信頼をゼロにしたことがあるんだ」
「…………」
私をまた抱きしめながら。
ゆっくりと話し始める、私の知らない紘毅くんの過去。
「クビにならなかっただけマシだったけど、正直周りの厳しい目や言葉が毎日辛くて。
得意先だけじゃなくて会社全員からの信頼もゼロになったな、あれは。クビの方がまだマシだったかもしれねぇ」
あっ、今のは作り笑いだ。
嘘っぽい下手くそな笑い方。
けれど指摘せずに、ただただ紘毅くんに身を任せる。