永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜
そしてオーブントースターで焼き上がるまでの間に、彼を起こしに行く。
「紘毅くん、朝だよ!起きて!」
「んー…?」
少し強めに揺すったけれど、彼は小さな反応を示すのみ。
「紘毅くん、ご飯もうすぐできるから!」
「…っるせぇ…」
くっきりとした二重で切れ長の目はまさに異性を惹きつける桃花眼で、鼻筋はスッと通っており、薄い唇は不機嫌そうに閉じられている彼───
篠川紘毅くんは、オトナのくせに寝起きは子供みたいだ。
自他共に認めるほど朝が弱いらしい。
「もう!毎朝そんな不機嫌でよく飽きないね!」
「詩織こそ毎朝よく元気だな…」
オトナの紘毅くんとは8歳差の私、与倉詩織の名前を呼んだ彼。
掠れた低い声だった。