永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜
「なぁ詩織、どうせならこのまま───」
ぐらりと大きく心が傾いたその時。
ポケットに入れていたスマホが大きく音を鳴らした。
そこでハッと我に返り、慌てて紘毅くんから離れる。
スマホを見ると坂野先輩からの電話だった。
「も、もしもし…与倉です!」
『おはよう、与倉さん。すごく焦った声だね』
電話をとるなり、私の焦りを指摘されてしまう。
本当に鋭い人だ。
それとも私がわかりやすいのだろうか。
「もしかして時間過ぎてますか…?
すみません、急ぎます!」
熱くなる顔を隠すため、紘毅くんの方を見ずに車を降りる。
慌ててカフェの入り口に向かおうとしたその時───
「あっ、与倉さん」
電話越しの声が二重になって、やけにはっきりと聞こえた。
思わず立ち止まって恐る恐る振り返ると、そこには坂野先輩が立っていて。