永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜
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そこのカフェの夫婦はとても優しい人だった。
私を温かく出迎えてくれて。
なぜか坂野先輩も加えた4人で話していたけれど、正式にここで働くことが決まった。
「そういえば詩織ちゃん、今年大学生になるのよね?」
「あっ、そうです…!」
「大学も自宅から通うの?」
「…っ、そ、れは…悩んでます」
悩んでいるというか、ほぼ一人暮らしは確定だ。
これ以上迷惑はかけられない。
「あら、一人暮らし?」
「家から1時間以上かかるので…一人暮らしをしようかなって」
「そうなの、大変ね…ご両親は心配なさらない?」
またどきりとした。
親のことを詳しく話せるほど、傷は癒えていない。
「あ、はい…家事全般得意なんで」
「あらそうなの!すごいわ、まだ高校生なのに」
なんとか濁すことができ、その場を乗り切る。