永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜
「無理して笑わないことをオススメするよ」
「……うう…」
涙は堪えるけれど、無理して笑うことはやめた。
両親が亡くなってしまった寂しさは、この先消えることがない気がする。
「泣かなくていいの?」
「そ、れは…大丈夫です」
「そっか、残念だな。どさくさに紛れて抱きしめようとでも考えていたのに」
「なっ…ひどいです、坂野先輩」
本気で悲しんでいるというのに。
嫌な冗談を言う。
先ほどの優しさもこれが目的だったというのか。
「そうだよ、俺って最低な人間だから。
けどみんな“優しい王子様”だって、おかしいね」
その笑顔こそは優しい王子様のようだったけれど、話の内容に合っていない。
やっぱり坂野先輩には裏があったようだ。