永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜
「だからそんなに警戒しないでよ。
ほら、俺の前では泣いていいんだよ」
どうしてそんなにも泣かせたいのだ。
まさか泣く女を好んでいるのでは?とすら考えてしまう。
とても信用できない。
「坂野先輩が何を考えているのかまったくわからないので嫌です」
「あれ、また拒否されちゃったね」
クスクス笑う坂野先輩には余裕しか感じられない。
「でも強がりで弱い与倉さんのこと、嫌いじゃないよ」
「何言っ…」
「今までよく頑張ってきたね」
まるで子供を褒めるように頭を撫でてくる坂野先輩。
その手つきは優しくて、また先ほどの感情が込み上げてくるけれど。
これも罠なのではないかと思い、泣くのは我慢する。
「坂野先輩は店に戻らなくて大丈夫なんですか」
「うん、今日は与倉さんに働く上での基本を教えてって言われてるから。それが終わり次第帰れるよ」
「……あの、何かすみません。
私のせいで…」
本当に私の教育係になったのだろう、何だか申し訳ない。