初恋エモ
実はミハラさんにこんなことを言われた。
バイトからの帰り、ちょうど部活帰りのミハラさんと川沿いの道で会った。
家へのお土産として石焼き芋を持っていたため、よかったらどうぞ、と彼にプレゼントすることに。
『いいの?』
『は、はいっ、家族はもう夜ご飯食べたらしいので』
じゃあそこで一緒に食べよ、と言われ、自転車を停めた。
ベンチに座り、たわいもない話をしながら紙袋を出した。
『俺、さっき部活で手擦りむいちゃって。食べさせてくれる?』
『え、えええっ!?』
ビビりながら彼の口元にサツマイモを運ぶ。
『あつっ!』
『大丈夫ですか? 水ありますか? 私チョイス間違えましたよね、店内でずっといい匂いがして今日はこれにしちゃったんです。すみません!』
あわあわと言葉を並べると、ミハラさんは冗談だよ、と爆笑した後、こう言った。
『美透ちゃんのそういう一生懸命なとこ、俺好きだな』って。
フェス行った時もそうだったけれど、ミハラさんは私を惑わす言葉を吐いてくる。
だまされちゃいけない。