初恋エモ


打ち上げでは、STARFISHのメンバーと色々話すことができた。

特に葉山さんはメンバーと同世代であり、ドラムの人と音楽談義に花を咲かせている。

クノさんはギターの人と打ち解けていて、私はボーカルの女の子と話をした。


ボーカルさんはポジティブなパワーにあふれた人で、何でも楽しくやるのが一番、とアドバイスをくれた。勉強になります。


しかし、事件が起きた。


「なーんか今日の対バンだるかったな」

「確かに。トリはアイドルバンドでしょ? あと何だっけ? イキッた高校生バンド。客層もクソ悪かったし」


しんみりお酒を飲んでいる一角から、そんな会話が聞こえた。


透明ガールとSTARFISHの間に出ていたバンドの人だ。

STARFISH待ちのお客さんの前でのライブだったため、盛り上がらなくてイラついたのか、ライブ中に悪態をついて引かれていた。


「あ?」「あ?」


クノさんとSTARFISHギタリストさんの声が混ざり合う。


「オイ、てめー今なんつった?」


先に絡んでいったのはクノさんだった。

一触即発の空気に、その場にいた全員の会話が止まる。


「俺らの客盛り下げたのはてめぇらだろーが。クソみたいなライブしかできねーくせによぉ」


STARFISHのギタリストさんも、ヤンキー口調で彼らを凄む。怖い怖い!


なんと両バンドの武闘派(らしきメンバー)がブチ切れの状態へ。


「な、なんだよ。クソみたいなバンドが増えてるから、ライブハウスにクソみたいな客しか来なくなるって話だよ」


悪態をついたバンドマンさんも、ビビりつつも負けじと持論を繰り広げる。


「クソクソうるせーんだよ。クソバンドが!」

「ああん? クソって言った方がクソじゃボケ!」


うわぁ、やめなよ、という声が聞こえても、両者の言い合いは止まらない。

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