初恋エモ
それから、声量まかせの強さが特徴だったクノさんの歌が、少し変わった。
荒々しさは残しつつも、より歌詞を伝えられるよう、言葉を大切に歌っているように感じた。
『本当はもっと言いたいんだろ
もっと知ってほしいんだろ
僕は君にはなれないけど
一緒に鳴らしてやるからさ』
歌詞も自省的なものが多かったけれど、最近は誰かに向けて書いているように思える。
STARFISHのライブを見て、打ち上げの出来事があって、彼の意識が変わったようだ。
『ブルー/イエロー』のMVも、再生回数が順調に伸びていて、
『近いうちに売れそう』
『ボーカル高校生ってマジΣ(・ω・ノ)ノ!』
『エモくて好き』
など知らない人からの好意的な書き込みも増えている。
たまに『かっこつけすぎ、響かない』など批判的なコメントもつくものの。
「うるせぇ、てめーのために歌ってねぇ」
とクノさんは一人で文句を言うだけに留めている。少しは大人になったらしい。