初恋エモ
日々が充実しているからか、クラスでの友達付き合いも上手くいっていた。
「体育祭どうしよっか~」
夏休み前にはみんなのお楽しみイベント、体育祭がある。
「美透ちゃんは? やりたい競技ある?」
「え? みんながやりたいのでいいよ」
バイトが忙しく、前みたいに掃除当番は変われなくなったものの、特に嫌われた感じはない。
私を名前で呼んでくれるようにもなった。
相談の結果、男女混合のソフトボールに決まった。
「間宮さんは中学の頃、部活やってた?」
突然、同じ競技メンバーになった男子に話しかけられた。
「あ、私は……」
「美透ちゃん陸上部だったんだって。意外でしょ」
答えようとした私をさえぎり、なぜか穂波さんが代わりに答えた。
美透ちゃん男子に苦手意識あるんだから、勝手に話しかけないでよね。
なんてことも付け加えられる。
いや、特段男子が苦手というわけではなく、普段話さない人と喋るのが苦手なだけなんだけどな。
「じゃあ割とスポーツマンそろってるじゃん」「頑張ろー!」
男子は私たちを気にかけず、練習スケジュールを立てていった。
私の性格を決めつけられているような、支配されているような。
複雑な気持ちになったものの、場の空気を壊してはいけないため、黙っておいた。
早く、ベースが弾きたい。