初恋エモ
3
☆
「……さん! 店員さん!」
「あ、すみません! お待たせしました」
途切れたレジの列にかまけて、ボーッとしていた私。
気難しそうなおばあさんに声をかけられ、慌てて手を動かした。
「あんた、高校生?」
「あ……はい」
「遊びの金稼ぎならやめちまいな。あー気分悪い」
「すみません」
清算が終わり、ありがとうございました、と小声で伝えてから。
頭を下げ、目を閉じた。
しばらくそのままの姿勢でいると、
「間宮さん、シフト多いし疲れてる? 早めに上がっていいよ」
店長の声が後ろから聞こえた。
「いえ、大丈夫です」
慌てて頭を上げ、軽く笑顔を作った。
目が潤んでいるのがバレなきゃいいけれど。
「今日雨でお客さん少ないし、休める時は休んだ方がいいから」
「や……」
「実は間宮さんのお母さんからクレーム入ってさ。娘を遅くまで働かせすぎだ、とか、その割には給料低いとか、なんとか……。ちょっとそういうの困るんだよね」
確かに、バイト後にクノさんの家でベースの練習をするため、帰るのが遅くなる。
バイトだと嘘をついて、彼の家へ練習しに行くこともある。
でも。
母は私にお金を稼いでほしいと思っているくせに、どうしてバイト先にクレームを入れるの?
確かに最近、家の手伝いはおそろかになっているけれど。