初恋エモ
「ごめんなさい! 私のせいです!」
「ドンマイドンマイ!」「次で点取るから大丈夫!」
表が終了した時点で1対0。次、点を取らないと負ける。
クラスメイト達はきっと私を責めたいのだろうけれど、みんな優しかった。さらに罪悪感が増した。
「美透ちゃん、次だよ!」
一人目はフォアボールで塁に出て、二人目は三振。
三人目がバッターボックスへ入ると同時に、チームメイトに声をかけられる。
「ええっ!? 私?」
なんと次が私の打順だった。最悪。絶対打てないよ、負けるよ。
ヘルメットをかぶり、とぼとぼとネクストバッターサークルへ進む。
他の競技は全て優勝を逃したらしい。残っているのはこのソフトボールのみ。
クラスメイトたちの応援が熱を増していく。
あいつ大丈夫なん? さっきフライ落としたじゃん、などという声も聞こえてきたが。
「おい、まだ終わんねーの?」
応援の声たちに、ダルそうな大声が混ざった。
んんん?
もしかしてクノさん?
球場側面のフェンスに視線を移すと、制服姿のクノさんがいた。
こっそりと駆け寄った。
「すみません! でもきっと次、私なのですぐ終わり……」
「何で目腫れてんだよ」
クノさんは私の言葉を遮り、鋭い視線を向けた。
さっき穂波さんにキレられた後、一人で泣いた。
そのせいでまぶたが重い。