Ai…

「…藍く‥」



ーーー



オレは愛さんにキスしてしまった


自分でも驚いた



我に返った時
悪いことをしたと思った



「…ごめ、ん…」



なんでオレは兄と違って
不器用なんだろう


言葉で上手く伝えられない




不安だって

寂しいって

一緒にいると安心するって



好きだって…

言えたらいいのに



「…藍くん、寂しい?
…私、藍くんのこと好きだよ…」



「…オレのために言ってんの?
…オレが、可哀想だから、言ってんの?」


また、そんなことを言ってしまう



オレも好き…

甘えたい…

なんで言えないんだろう



「…可哀想とか‥そんなんじゃないと思う…
ずっと、藍くんと一緒にいて
私も、藍くんのこと、
抱きしめたくなったことがあった…
だから、さっき嬉しかった」



「父さんがいないから?
オレは、その代わり?
父さんのこと好きだから
オレと仕方なく暮らしてんでしょ!
ご飯作るのも…洗濯も…
面倒だったらしなくていい!」


オレは、強く言ってしまった



愛さんはベッドの中で小さくなっていた



「…ごめん…」


オレは起き上がってベッドから出ようとした



「…藍くん、行かないで…」

愛さんに止められた



オレ、最低…



勝手にキスして

勝手に怒って

勝手に突き放した



一緒に寝ようってオレが言ったのに



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