Ai…

「ごめんね
大したのないけど食べて」

テーブルに料理を運んだふたりに
愛さんが言った




「いえ、私までお邪魔してスミマセン」

彼女が言った




純粋そうな人

こんな人でも、兄と…



オレは
その事しか考えられなかった




「藍くん、おかわりは?」

オレがボーっとしてたからか
愛さんが言った




「あ、オレ、自分で盛ってくる
愛さん、座ってて…」




「姉弟で、同じ名前なの?」

彼女が言った



あ…ヤベ…



「…うん、私は、愛子?っていうの
弟は、藍…」




「あ、そーそー、ややこしいよね…」



愛さんと兄の必死な声が聞こえた



オレはおかわりをして
席に戻った



兄の顔が
余計な事を言うな!って言ってた




みんなが世間話をしてる間も
オレはずっとあの事を考えてた


この人たち、さっきまで…って





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