Ai…

下におりると
父親も女の人もいなかった



テーブルの上に食事が用意してあった

鍋の中に味噌汁もあった



グーーー…

腹が鳴った





オレは、それを食べずに
母さんの仏壇の部屋に行った




笑ってる母さんの写真


「藍」



母さんの声が聞こえてくる気がした





花があげてあった


母さんの好きな花


父さん、知ってたのか?




ケーキもあげてあった


バースデーケーキ


母さんの誕生日だって、知ってたのかよ…





「なんで、今ごろ…
なんで、生きてるうちに、
…来なかったんだよ!」



オレは、ケーキを床に投げつけた



「なんだよ…
新しいお母さんて…
…いらねーよ…
母さん…帰ってきて…
ねぇ…母さん…おいてかないでよ…」




母さんの声は返ってこなかった




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