Ai…
「東雲、帰んないの?」
後ろから声がした
振り返ると
同じクラスの槙田(まきた)がいた
気付いたら外が暗くなり始めてた
グラウンドで部活の片付けをしてるのが見えた
「あぁ…帰る
オマエは?」
「私も帰る
今日、委員会があって部活行けなかったんだ」
槙田は帰る準備をしながら
そう言った
一緒に学校を出た
久しぶりに外に出たからか
夜風が生ぬるく感じた
「ノート、写すなら貸すよ」
槙田が言った
「あー、じゃあ、貸して」
「これからうちで写す?」
「これから?」
「うん、うち誰もいないから」
「親は?」
「ママ、今日夜勤でいないの
だから、私ひとり」