Ai…
帰って愛さんに
今日のことを話した
「愛さん、コレ…愛さん?」
オレは槙田に言われた首元を
愛さんに見せた
「ごめんね…藍くん」
愛さんは笑いながら言った
「もぉ…担任に見られた
お母さんに連絡するとか言われるし…」
「…連絡が来た時は‥
今、すごく幸せだよ…って言いたいな」
愛さんは、しみじみ言った
「…ねぇ、アイツと何回ぐらい、キスした?
…
愛さんの初めての人って、先生?」
また、そんなことを聞いてしまった
愛さん、呆れるかな
愛さんのことになると
なんかオレ
ムキになるんだ
「…結局、1回キスしただけかな…
すぐに別れたし…
…
初めての人ね…
初めての人、藍くんなんだ…」
愛さんは恥ずかしそうにうつ向いた
「…え?」
「両親亡くなって
彼と別れてから、人と付き合うとか
そんな気分になれなかったし…
…
藍くんに出会ってなかったら
私、一生ひとりだったかも…
…
ずっと、気も張ってたし…
…
でも、藍くんには、なんか心許せた
…
藍くんに寄りかかって寝た時
ホントに心が温かくなったの…」
うん
オレもあの時の感覚
憶えてるよ
オレは愛さんの手を握った
「オレも…安心する…」
「こんな歳で、初めてとか、
恥ずかしいけどね…」
オレは首を横に振った
「嬉しい…
愛さん、大切にするね…」
「うん…」
オレは
うつ向いてる愛さんの唇を拾ってキスした
ーーーーー
きっと
この人は
いつまでも
純粋で心の綺麗な人なんだろうな…
愛さんと出会わせてくれて
ありがとう
母さん