Ai…
あの人が買ってきたプリンは
母さんが好きなプリンだった
たまに父さんが帰ってくる時
父さんは、このプリンをお土産に買ってきた
母さんは、いつも美味しそうに食べていた
「このプリン、オレ食べたことある」
「おいしいよね
好き?」
「うん」
「じゃあ、また買ってくるね」
この人も
父さんが買ったプリンを食べたのかな?
「父さん、帰ってこないの?」
「んー、どーだろー
藍くんのこと、いつも心配してるよ
…藍くん、寂しい?」
心配?
寂しい?
誰が?
「いや、オレは寂しくない
今までも、いつもいなかったから…
…寂しくないの?」
オレは逆に聞き返した
「私?
…寂しくないよ
…藍くんがいるから…」
嘘っぽくて、ムカついた
「…ごちそうさま」
オレは部屋に戻った