ねえ、
気になる
*
「鴻上!」
名前を呼ばれて振り返るとそこにはわたしがあの日、ちょっとだけ思い出したあの人が立っていた。
「高坂先輩」
雫のひとつ上のお兄ちゃん。
この学校に通っていた元生徒会長であり、元テニス部のキャプテンだった先輩は、みんなの憧れの的だった。
わたしは雫と仲がいいからそのおかげで話せる、特権みたいなもの。
そんな先輩にひそかに思いをよせてるわたしだけれど、それは雫ももちろん先輩も知らない。