横顔がスキ 〜とある兄妹の恋の話〜
「うち…見えないな」


あたしはちょっと
がっかりした。

手前にマンションが建ち
その影で見えない。

小さい家だけど
昔は見えてたのにな・・・

「このあたりも随分変わったんだな」

柊にぃが感慨深げに言う。

「しかたないかぁ〜」

街は変わり、そこに住む人も
変わってゆくのかな。



「なあ瑠璃、

 年なんて
 あっという間に食っちゃうんだぞ。
 どうする?ババアになったら」

「プッ そんな先の話〜」


ババアかぁ〜・・・

今もがいてる悩みも
年を取ったら笑える話になる?


「あたし、そのうちおばあちゃんになって
 今こうしてここでいることも
 なつかしく思い出したりするのかな」


「オレさ、年取ってジジイになっても
 瑠璃と一緒にいたいな」


「えーっ?」


「・・・

 知ってしまったんだろ?
 俺たち、兄妹じゃないって」
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