横顔がスキ 〜とある兄妹の恋の話〜
「泣かせちゃったな、ごめん」

柊にぃはやさしく
髪をなでる。

まるで小さな子供を
あやすかのように。



「あ…あたしは

 ずっと願ってたんだ。


 あたしと柊にぃだけを残して
 みんな死ぬの。
 戦争でも起きて
 みんな死んじゃえばいいって。

 この世に二人っきり。

 そうなれば兄妹でも

 柊にぃはあたしのことを

 愛してくれるかもって。


 あたしは

 そんなひどいことを

 いつも願っていた…」



最後は嗚咽になった。

柊にぃはあたしの顔を
じっと見る。

きっとひどい顔してる。
涙いっぱいで、
鼻水だって出てる。




「瑠璃…」


柊にぃはあたしを抱きしめる。

あたしは背伸びして
ほほを肩にのせ
背中に手をまわす。

そっと、

そして強く。



離れないように。
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