横顔がスキ 〜とある兄妹の恋の話〜
「でも、彼氏ができたんなら
 仕方ないよな。
 おれは振られたかぁ〜!」

神社に着いた。

確かに裏の方からギャアギャアと
何かが鳴く声が聞こえる。
カラスだろうか。

でもどうでもいい。

得体の知れないものより、
今、この状況がつらく思える。


石を置いて
あたしたちは戻り始めた。

ウッシーはあたしの手を
もう一度強く握り言った。


「でもさ、ずっと友達でいよう。
 たまに遊びに行くとかぐらいは
 いいだろ?」

 おれ、るりピーのお兄さんとも
 うまくやっていける
 自信あったんだけどなぁ」


柊にぃのことがなければ
ウッシーと付き合ってただろうな。


強くて、やさしくて、毎日走り
引き締まった体を持つウッシーは
つまらない噂に流されたりしない
あたしには出来すぎた人だった。


「もし別れたらいつでも言ってきて」

あたしはウンとうなずいた。


出発した場所に戻る。

平然としてるあたしたちを見て、
みんな拍子抜けの顔してた。

「神社の裏で何か鳴いてなかった?」

「鳴いてた気もするけど…」

ウッシーにうまく話し終えた安堵感から
きもだめしのメンバーを残したまま
あたしは一目散に
柊にぃの元に戻った。
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