横顔がスキ 〜とある兄妹の恋の話〜
瑠璃…

ずっと大事にしてた

オレの妹…

オレにまとわりついて
そばを離れない。

めまぐるしく変わる表情。
素直に聞く利口さ。

かわいかった。


------ 妹なんだ。

そう自分に言い聞かせてきた。


でも本当は妹じゃないことを
オレは知ってた。

「ほんとに、誰の子なんだか」

おばあちゃんがぼやいてたのを
覚えてる。



あの頃、
オレは5歳ぐらいだっけ。

母さんの大きなおなかを
さわりながら「早く出ておいで♪」
そう呼びかけたのも覚えてる。

母さんはオレの頭をなでながら
何度も涙ぐんでた。

オレは母さんに
ずっと甘えていたかった。

だから母さんを大切にして
瑠璃のことも大事にしようと思った。



そういや母さんによく頼んでた。

「大きくなったら
 瑠璃をお嫁さんにしたい。
 瑠璃をボクにちょうだい」


母さんはにっこり微笑んでたなぁ。
< 171 / 244 >

この作品をシェア

pagetop