横顔がスキ 〜とある兄妹の恋の話〜
ママに電話した。

「柊にぃ、
 携帯つながらないよ?」


「電話したのね…

 島だから
 電波届かないって言ってた」


「病院はどこなの?」


「瀬戸内海にあるの。

 連絡取らないでね。
 柊路の心が乱れると困るから」


「…そんな!」


「今は治すことが一番。
 治ったら帰ってくるんだから
 それまで待ってあげて」


空を見上げると
まあるい月が出てた。

まん丸に少し届かない形の月は
家々の瓦屋根を、
冷たく照らしている。


 この月を
 柊にぃも見てるかな…


胸がしめつけられる。


やわらかい月の光は
同じように柊にぃを
照らしているんだろうか


夜風が冷たい。


柊にぃにやさしい眠りは
訪れているのだろうか。
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