横顔がスキ 〜とある兄妹の恋の話〜
---よく朝

まだ静けさの残る大阪駅で、駅員さんに病院までの行き方を教えてもらう。


電車で乗り継いで
バスに乗って…

思った以上に
島は遠いらしい。



「台風が近づいてマッセ。
 気ぃ付けやァ」


そういえば

風は強くて生暖かい。
不安なあたしを
揺さぶるかのように…


ていねいに書いてくれた紙をにぎりしめ、早朝の大阪を出発した。




---そして昼過ぎ


たくさんの船が波にゆれてる
小さな漁港。

やっと
島の手前まで
たどり着いたんだ。

暗い雲と海の向こうに、
小さな島が見える。



…あそこだ

あそこに柊にぃがいる。


降り出した雨が
顔をたたく。


ベンチが2つ置かれた
小さな待合い室を見つける。
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