横顔がスキ 〜とある兄妹の恋の話〜
「ケータイ鳴らしたのに」

半分こっちをにらんで
柊にぃが言う。

「ん?」

「電池切れてるだろ」

「あーほんとだ」

「あのさぁ、ホント暑かったんだぜ」

「今も暑いよ…」

車内の熱風はおさまらない。

「走ってるとまだマシなんだよ」

確かに
頬をなでる風は心地いい。

「瑠璃、
 さっきすごい顔して歩いてたけど大丈夫か?」

「え、そうだった?」

「うん、地球の終わりって感じだった」

「アハハ、何それー」

「大丈夫そうだな」

トイレでの出来事を思い出した。

「それにしても年代もんの車ね」

「いいだろー♪」

「うん、柊にぃには似合ってる」
< 29 / 244 >

この作品をシェア

pagetop