横顔がスキ 〜とある兄妹の恋の話〜
開かれるドア
オーディションの帰り、
柊にぃのバイト先のスタジオに寄った。


バイト先の連中に
紹介するんだって。


汗はすっかり引いていたけど、さすがに汗くさい感じがして気が引けた。

でも、オーディションでの出来事もあり、自暴自棄的気分だったので柊にぃに連れられて行く。



「コイツ、オレの妹デッス。
 今日の丸岡食品のCMオーディション落選したてのホヤホヤです」

…そこまで言わなくても…


「あ〜さっきいた子ね、
 こんばんわ!」


大きな瞳の女性に
話しかけられる。


「リナさん、今日はお世話になりました」

柊にぃがお礼を言ってる。


「いえいえ、こちらこそ!
 妹さんも大変だったでしょう。わざわざありがとうね」


あたしの顔をのぞきこむ表情には、好奇心が見えてる。


「あまり…お役に立てませんで…」


この人は
何歳ぐらいなのだろう。
柊にぃよりも年上かな。


「出てくれただけで十分よ」


いい感じの人だ。


「ぉおおおお〜?
 もしかしてもしかして
 女子高生!!!?」


後ろから声がした。

振り返ると、髭面のメタボ体が迫ってきてる。

びっくりしてちょっとのけ反った。
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