横顔がスキ 〜とある兄妹の恋の話〜
それからあたしと柊にぃは、リナさんとゴン太さんの仕事が終わるのを待ち、一緒にご飯を食べに行った。


創作料理が売りの、おしゃれな居酒屋。あたしこんな店初めて。

半個室のような部屋に4席。
柊にぃの隣に行こうとしたら

(ゴン太さんの隣に行け…)

柊にぃが無言の
目の合図。



…仕方ない、
大人の世界だもんなぁ。

こんなとこで
柊にぃの隣がいい、
なんて
わがまま言えない。


「おぉ瑠璃ちゃん、
 おじさんの隣へようこそ!」


ゴン太さんは
目をうるませてる。


向かいの席に柊にぃとリナさんが並んで腰掛ける。


「遠慮せずにいっぱい食べてね。あとで吉沢のバイト代から引いとくから」

呼び捨てだ。


「え〜そりゃないっすよ!」

「ウソ。経費で落とせるから」


リナさんの方が
年上なのかな?

ひとつのメニューを
柊にぃと
リナさんが覗き込む。



なんだか胸が痛い。
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