横顔がスキ 〜とある兄妹の恋の話〜
それからは今日の話題で盛り上がった。

ビートルでの迎えのこと。

汗だくでのオーディション。

名字で笑われたこと。

「そのとき私その場にいたよ」

自己紹介で吹き出された話をしたら、リナさんが言った。


「ひとりが吹き出して、その様子がおかしくてみんな笑ったんだよね。名字がおかしかっただけじゃないと思うよ。

 あの後、雰囲気がなごんだんだよね。オーディション受けてる子たちの、緊張がほぐれたのがわかったわ」


あたしはオーディションに、ちょっとは貢献できたってこと?


「でも兄妹なのに
 名字違うんだね」

ゴン太さんが聞いてきた。


リナさんが軽くゴン太さんをにらむ。きっと余計な話をして、ってことなんだろう。

「オレ達はかなり複雑な家庭で…」

ちょっと気取って
柊にぃが話し始めた。

「そんなに複雑じゃないから!」

あわててあたしがつっこむ。
そして言い直す。

「すこぉし、
 ややこしいだけです」
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