横顔がスキ 〜とある兄妹の恋の話〜
“江川 琥珀 エガワ コハク”

コハク コハク コハク

あたしは頭の中でくり返す。



あれ?


どこかで聞いた気がする…


…んなわけないか。


白いのが混ざったヒゲ。
全身黒で統一した服がよく似合ってる。


「あの〜オーディションではごめんね
 ほら、ボクが吹き出してしまって」

「いえ、いいんです。慣れてますから」



江川さんは
あたしの顔を
じっと見た。



「名前がね、おかしかったわけではなくて、びっくりしたんだよ。

 ボクのね、知ってる人も鹿ノ首って言うんだ。

 で、君の保護者の欄をみると、ボクの知り合いの名前があった」



「…じゃあ
 ママと知り合いなんですか?」


江川さんはゆっくりうなずいた。

「オーディションが終わってから
 君のママに電話した。君のことを聞いた。

 君はボクがずっと会いたかった子だ。」
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