横顔がスキ 〜とある兄妹の恋の話〜
ママは言った。

「知ってるもなにも・・・
 あのころは確か
 柊路は4歳ぐらいだったかしら。

 大騒ぎになったのよ。

 近所中、会社中に知れ渡ってた。
 妊娠してるのは吉沢の子じゃないって。

 吉沢が外国でずっといなかったから。


 出ていこうとした私に柊路が言ったの。
 

 ぼくのいもうとじゃなくても
 赤ちゃんだいじにするから
 だからおうちにいて・・・

 どこかで聞いてたんでしょうね。

 生まれてくる子は妹ではないって」


・・・胸が熱い。


「柊路は私にすごくなついていたのよ。
 江川は柊路も一緒に育てる、
 そう言ってくれたけど、おばあちゃんがね。
 柊路を離さなかった」


そこまで聞いたとき、玄関が開く音がした。
おばあちゃんが戻ってきたのだ。

ママは「そういうこと」とだけ言って
話を終わらせた。
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