ある…女の子の日常

アオハル

わたしは以前、吹奏楽部に在籍していたが、もう引退している。

けれども無性に演奏したくなる時があり、お年玉とお小遣いを貯めて買った、トランペットを持って海岸迄行く。


「なに吹こう?思いついたままがいいよね~」


わたしは、部活での課題曲や個人的に好きな曲等を、海に向けて思いっきり吹いていた。

なんとも気持ちのいい~~


「藤田だよな」


名前を呼ばれて振り向くと、同じクラスの男子がいた。


「和泉君…うるさかったかな?」

「大丈夫だろ、この時期だし海で遊ぶと寒いから人も居ないぞ、それより近くで聞いても良いか?」

「別に…わたしは良いよ」


わたしは少しドキドキしてる…和泉君はクラスでも人気のある男子だ、バスケ部に入っていた時も良く、女子は見に行っていたようだ。

人が近くに居ると、少し緊張する…イケメンなら尚の事。時々失敗しながらも、まあまあの出来だと思う。少し休憩の為、荷物を置いていたベンチに座って。ジュースを飲んでたら和泉君も隣に座った。

「すっげー上手いのな藤田。学校では皆んなで一緒だから、個別に聴くと迫力あるな!」

「ありがとう…聴いてくれる人居ると、心強いよ。一人は少しだけ淋しいよね」

「邪魔じゃなくて良かったよ。学校じゃあ藤田とそんな話さないから、こうやって話せると嬉しいな」

イケメンは言う台詞もイケメンです。それから少しだけ吹いて。


「そろそろ暗くなるから、わたし帰るね。和泉君ありがとうね、又明日学校でね」

「俺、送ってくよ!危ないし」


わたしは立ち上がり、楽器を片付けながら。


「大丈夫だから、わたしなんか危なく無いよ!平気平気!」

「駄目だ!送るから」


片付けの終わったわたしを、本当に家まで送ってくれた。

途中も色々な話をした…和泉君は、もうちょいチャラいイメージあったけど、結構真面目な思考の持ち主だった事が判明して良かった。


男の子と海辺を歩くなんて、アオハルですねー。偶のご褒美ありがとうございます。
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