Rainy day
退院した当日の夕方。

沙織はやって来た。



「退院、おめでとうー」

沙織の明るい声に俺はホッとした。

「ありがとう」

「…また痩せたんじゃない?」

沙織は俺の頬にそっと手を当てた。

確かに、入院して5キロは痩せた。

筋肉が落ちたのかもしれない。

また、来年までにリハビリと共に筋トレもしないといけない。

「早く、バイクに乗れるようになればいいね」

沙織はそう言って俺にキスをした。

俺もそれに応える。



でも。

途中で俺は半ば強引に唇を離した。

「総一…?」

「…ごめん」

悟られないように、そう謝るけど。

沙織…

お前は俺を通じて



ダレヲミテイルンダ?



キスの感触が。

今までと全然違っていた。

まるで形だけ。
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