Rainy day
「ごめんね、送ってもらって」

沙織は申し訳なさそうに手を合わせた。

「いいよ、別に」

俺は呟くように言う。

雨がさっきよりも酷くなっていて窓に叩きつけられている。

「門真くんってさ、彼女いるの?」

信号待ちの時に突然、聞かれた。

「は?」

「付き合っている人よっ。
誰かいるのかな〜なんて」

沙織は楽しそうに聞く。

茶化されているのか?

「…いないけど」

明らかに声に不機嫌なトーンが入った。

「じゃあ、今、フリー?」

俺は頷く。

「私と付き合わない?
これも何かの縁だし」

「はあ?」

「ねっ、いいでしょ?」
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