蛍火に揺れる
でも助産師さんとの面談で「数杯なら大丈夫です。むしろ我慢してストレス溜める方が問題です!」とあっさりと言われてしまった。
こんなことならもっと早くに聞いておくべきであった…と少し後悔中である。
今の時刻は昼の四時。
仕事をしていた頃は、こんな時刻にまったりとコーヒーを飲んでいるなんて想像はつかなかっただろう。
回りを見渡してみると、おばさま達が井戸端会議の如く集まっていたり、小さな子供とお母さんがドーナッツを半分こして食べていたり、高校生っぽい制服のカップルが向かい合って勉強をしていたり…正直仕事を辞めて『世間に取り残された』と思っていたが、むしろ逆であることに気付いた。
仕事を続けたままだったら、こんなにも色んな人の生活を垣間見ることは無かっただろう。
会社とは世間と繋がれる場所だと思っていたし、仮にもマーケティング部で生活に密着した調査が仕事であった。
でもそれはあくまで見ていたのは表面的なことであって、こんなにも他の人の生活を肌で感じながら生活するということは初めてだったのだ。