蛍火に揺れる
「だからねー、僕は『そんなの、菅原さんに好きだから行くなって言えば済む話じゃないの?』って言ったのよ。そしたら『今更言えるかよ』って。
何?この人中学生か?!ってもうね。いやぁイケメンな大村がそんな女々しい性格をしてたとはねー」
いやー、うん。なんというか……
「ノリ君と正反対だね、ある意味」
そういうと、思いっきり砕けたように笑うノリ君。
「やーだって、沙絵ちゃんには回りくどいことしても無意味だなーって思って」
「なにそれ?」
「癖のある人ばっかりと恋愛してきてるみたいだからさ。僕が同じことしても振り向いてくれないだろうし、何せ意識してもらうことが一番だったから」
さらっと笑顔で言うノリ君に、私の方がこっ恥ずかしくなる。
まぁ私は、こういう所に見事に引っ掛かってしまったんだろうな。どうやっても憎めない。
「それで、えーっと今菅原さんと大村君って?」
とりあえず脱線した話を戻そうと、話題を二人のことに戻す。
「今大村ん家に居るって言ってたから、まぁ上手く行ったんじゃないかな…?」
「大村君の家って西武線方面だっけ?」
「うん、中井の方だからギリ新宿区って感じだね」
新宿と聞いて、私のテンションは一気に上がる。
「えっ!!行きたい!!」
私の予想外の反応に、ノリ君は驚いている。