蛍火に揺れる
そして私達が行った先は、いつも部のみんなと大勢で行く居酒屋。半個室になっているものの、なんらその辺にある大衆居酒屋と同じようなお店だ。

いつも通り、私達はとりあえず生ビールを注文する。


「他の所が良かったですか?」とノリ君は聞く。
「でもまぁ、いつもの所の方が伊藤さんの本音が聞けると思ったんです」とも。

まぁ確かに畏まられた場所に連れて行かれても、それこそ緊張して何も話せなかっただろう。


すぐにビールと頼んだ枝豆は運ばれてきて、小さな乾杯をしてビールを飲み始める。
まぁ至って、いつも通りに、グビグビと。


「それで、どうすれば僕は伊藤さんの恋愛対象になりますか?」
ビールを置いたタイミングで、ノリ君は私に問いかける。
そう言われても……と私は口戸もる。

「だって…あなたは年下じゃない」

「そんなの二歳だけじゃないですか」

「でも会社で言うなら…六期も離れている」

「いやだから、それがどう関係あるんですか?」

どう関係あるのか?と聞かれても……周りの目とか…ってそうだよなぁ。きっと気にするような人だったら、あんなに大胆なことはできないだろう。
周りの目を切り札に説得しにかかっても、きっと押し切られるだろうし。
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