蛍火に揺れる
すぐに彼は処置をされている赤ちゃんを見つめるがー目にはうっすらと涙が浮かんでいるのがわかった。


そして、涙を少し拭って「元気な子だね」と。
身長と体重を測っている間にも、赤ちゃんの泣き声は止むことはない。力一杯泣いている。

その姿がーとてつもなく、愛おしい。


そして「赤ちゃんを綺麗にしますよ」とのことで、ノリ君は別室に移動。私は胎盤を出したりなどの処置。会陰切開はしなくてよかったけど、やっぱり少し裂けてしまったらしい。でも縫われている痛みはさほど感じない。


そして処置を終えた赤ちゃんが、小さな新生児用のベッドに乗せられて運ばれてきた。


「はいどうぞ」

そして私の胸の上に置かれた赤ちゃん。
小さくて温かくて……軽いけれど、ずっしりと重い。これから私達が守って行かなければいけない、大切な存在。


「写真を取りますか?」

そう助産師さんに聞かれたので、はいと携帯を差し出すノリ君。


そして三人で撮った初めての写真。

「最初の家族写真だね」
そう言うと、彼は笑顔で「うん」と頷いていた。
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